Japanese Association of Family Therapy
一般社団法人 日本家族療法学会

認定制度

資格認定制度設立趣旨・資格要綱


設立趣旨

日本家族療法学会(以下:本学会)は、家族療法の普及をもってわが国における健康と福祉に貢献することを目的として資格認定制度を設立する。具体的には、本学会として信頼に足る指導者(スーパーヴァイザー)を認定し、その指導のもとに臨床経験と知識を兼ね備えた家族療法家(ファミリー・セラピスト)を輩出する必要性から、学会認定スーパーヴァイザー資格と学会認定ファミリー・セラピスト資格の選定要綱を明文化し、これに基づいて定期的な資格認定試験と資格取得後の継続資格審査を実施することとした。こうした資格制度を通じて本学会が認める家族療法家の質を維持し、社会にそのサービスを供給し続けることがこの資格設立の趣旨である。

資格要綱

1.認定スーパーヴァイザーの定義と責務
スーパーヴァイザーの定義と責務を、下記の文献に示された家族療法モデルによるスーパーヴィジョンの理論と方法論に基づいて定める。
1)家族療法の主要な複数のモデルに関する知識に精通し、それらの前堤となっている理念およびセラピー実践上での意義をスーパーヴィジョンの過程において示すこと。
2)自らの主たるスーパーヴィジョンのモデル及びセラピーのスタイルについて明確に示すこと。
3)スーパーヴァイザー・セラピスト(臨床家)・クライアント(家族)の“世代間”関係システムに関する認識のもと、スーパーヴァイザー・セラピスト(臨床家)関係とセラピスト・クライアント(家族)関係が同時に発展していけるようにできること。
4)多様なスーパーヴィジョンの様式(例;ライブ、ビデオ、音声テープ、事例提示法)と形態(個人、グループ)に応じて、それらを構造化し、問題の解決を引き出し、そのための必要な介入ができること。
5)スーパーヴィジョンにおける文化、性、ジェンダー、人種、宗教、経済など社会的文脈の諸要因に対する感受性をもつと同時に、倫理的及び法的な諸問題について理解しておくこと。
6)スーパーヴィジョンの実践にあたっては、以上のスーパーヴィジョンにおける固有の諸課題を、常に適切に明らかにできること。

(文献)
Lee, R. E., & Everett, C. A.: The Integrative Family Therapy Supervisor: A Primer.
Brunner-Routledge, New York, 2004. (福山和女, 石井千賀子監訳 :家族療法のスーパーヴィジョン:統合的モデル.金剛出版, 2011)

2.認定ファミリー・セラピストの定義と責務
1)家族療法の主要な複数のモデルに関する知識を持ち、的確なアセスメントのもとにケースに見合ったモデルを実践することができること。
2)自らの主たる家族療法のモデル及びセラピーのスタイルについて明確に示すこと。
3)スーパーヴィジョンを受けるなどして、自らの実践について省みること。
4)セラピーにおける文化、性、ジェンダー、人種、宗教、経済など社会的文脈の諸要因に対する感受性をもつと同時に、倫理的及び法的な諸問題について理解しておくこと。

3.認定ファミリー・セラピストと認定スーパーヴァイザ―について
認定スーパーヴァイザ―は、認定ファミリー・セラピストの上位資格です。認定ファミリー・セラピスト、認定スーパーヴァイザ―の順に取得してください。2つの資格を同時に取得することはできません。
*この認定制度は、認定スーパーヴァイザ―、認定ファミリー・セラピストの順に制定され、それぞれの審査開始は2011年度、2018年度となった。そのため、経過措置として、2018年度から2022年度までは認定ファミリー・セラピスト資格取得を経ることなく認定スーパーヴァイザ―の審査を受けられることとした。現在は、認定スーパーヴァイザ―を取得するためには、前もって認定ファミリー・セラピストの取得が必要となっている。

4.認定審査におけるスーパーヴィジョンについて
スーパーヴィジョン実践を以下の3類型とする。但し、「Ⅰ型」をスーパーヴィジョンの基本とし、「Ⅱ型」及び「Ⅲ型」はこれに準ずるものとする。さらに、継続した実践を基本とし、単発の実践はこれに準ずるものとする。
1)「スーパーヴィジョンⅠ型」
個人または機関契約による特定のスーパーヴァイジーまたはグループを対象に継続した実践。
2)「スーパーヴィジョンⅡ型」
医療保健、心理、福祉、教育、司法などの専門職を養成する機関(大学、大学院、病院、諸施設)内における、教員と学生、指導医と研修医、実習担当者と実習生あるいは上司と部下等の関係の元での特定のスーパーヴァイジーまたはグループを対象に継続した実践。
3)「スーパーヴィジョンⅢ型」
個人または機関契約によるコンサルテーション、公開スーパーヴィジョン及び誌上コメント等の単発の実践。

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