Japan Association Family Therapy

News Letter No.78 (2014/09/20)

JAFT 第 31 回神戸大会を終えて

神戸労災病院精神科の植村でございます。この度は、第 31 回神戸大会で大会長を務めさせていただきました。思い起こせば 2 年前、山口大会開催中の飲み会の席で、東豊先生のその場の思い付き(笑)で大会長に推挙され、苦難の道は始まりました。

私の自己評価の宿命的な低さは別にして、どう考えても自分は大会長の器ではないとの思いは常にあり、よくぞここまでたどり着けたと感慨ひとしおであります。器の足りないところは自ら動くことで補うように務め、事務局スタッフの方々にも大変貴重な時間を使って尽力いただきました。その成果を大会企画に盛り込み、そこは参加者の皆様に一定の評価をしていただけたようで、安堵しております。

例えば、PE や TF-CBT のセラピストとして精力的に活動しておられる新井 陽子さんから、以下の様な評価をいただきました。

引用)…家族療法学会とは、狭義の家族療法だけをターゲットとした学会ではなく、家族というシステムをターゲットとしたセラピーを扱っている学会だと感じました。家族がいない人などだれもいません。もちろん家族と生き別れや絶縁している人もいるでしょうが、それも一つの家族システムだと思います。そして、家族システムというコアなシステムから派生した人と人、人と環境をつなぐシステムや関係性をも扱うことができるのが家族療法です。ということは、少々乱暴な言い方をすると、つまりどんな療法であっても家族療法と言える、または関連づけることができるのではないでしょうか。それは大会のプログラムにも反映されていたと感じています。

また、ふくしまこころのケアセンターでソーシャルワーカーとして活躍中の吉田麻里香さんからは、以下の様な評価をいただきました。

引用)…実は私、学会というものが好きじゃありません。どの学会に行っても 似たような顔ぶれが似たようなことを話しているような気がしてしまうし、多分実際そういう側面もあるでしょう。学会に参加しないと得られないような知識やスキルを必要とするわけではないし、そういったものは別の機会に充分学ぶことができたりします。もちろん、どの学会にも、いくつか興味深いエッジーなシンポジウムなどはあります。でもそのために高い参加費を支払い、仕事に穴を開けることを考えると、どうも気が進みません。なので、基本的に登壇を依頼された学会以外に脚を運ぶことはありません。ですが、今回の学会は、確かに見知った面々の名前がずらっとプログラムを埋めていましたが、それでも良い学会だったと思います。それはソーシャルワークと医療とサイコセラピ ーの垣根、職種の垣根、支援の技法や価値と社会問題提起の垣根、そういった垣根が限りなくゼロに近い学会であったためだと思います。自分の出番以外はほとんど又聞きですが、それでもその垣根のなさは実感できました。

我々の意図やメッセージが多くの参加者の皆様にこのように伝わったのであれば、これに勝る喜びはありません。今大会を機に若い世代の先生方が、CRAFT や PCIT、TF-CBT などの新しい心理療法に興味を持ち、それらの流派との交流が盛んになりますように…。

神戸労災病院 植村 太郎

神戸大会を終えて(一部妄想注意!)

全国各地からご参加くださった皆様、誠にありがとうございました。また、お忙しい中、WS やシンポジウムなどでご協力くださった先生がたに改めて深く感謝申し上げます。

今回の大会では、1日ワークショップだけでなく、半分の時間であるミニワークショップをもうけ、さまざまな技法の実践について学べるようにしました。ミニワークショップは、一般演題やシンポジウムの時間帯に開催しておりましたので、裏方としては発 表者のご登壇が重ならないことやできるだけ希望されているワークショップに参加いただけるように注意深く調整させていいただきました。もちろん、アクロバティックな時間配分は完璧にとはいかず、ご希望にそえない場合もありました。ご迷惑をおかけした方にはこの場を借りてお詫び申し上げます。

近年ではさまざまな技法や理論が発展し、専門家としてもなかなかフォローしきれない状況です。ましてや特定の学会のみに参加しておりますとついつい新しい技法の仕入れを怠ってしまいます。今大会では、大会長の意向と多大なる努力により、バリエーション豊かな最新の技法や企画をそろえ、学びの機会を提供できたものと自負しております。中には力が入りすぎたあまり、「これって家族療法に関係あるの?」と思われる企画もあったかもしれません。

しかし、大会テーマのサブタイトルを思い出してください。そう、”No Family, No Therapy”。てんこもりの企画のその陰には「すべてのセラピーに家族を」とのメッセ ージを含んでいるのです。もっと風呂敷を広げるならば「すべての対人援助に家族を」ということになりましょうか。実際、家族を視野にいれない対人援助などはありえないことはすべての実践家が認めるところでしょう。ただ、そこでの家族との関わりに家族 療法の知見がどれほど生かされているでしょうか。専門的コメントというパワーの陰で家族がつらい立場におかれているということはないでしょうか。例えば、医学部の OSCE で家族面接が訓練され、「ちょっとジョイニングが足りなかったね」などとフツーにコメントされる日が来たりしてもよいのではないでしょうか。

医療、教育、福祉、司法その他、すべての対人援助職にある人たちが当然のように家族療法の知見を基本的なスキルとして活用し、当事者も家族も元気になれる、そのようなムーヴメントのきっかけに神戸大会が貢献できたならば、無上の喜びです。

副実行委員長 坂本真佐哉(神戸松蔭女子学院大学)

第 31 回大会に参加して

当職は消化器外科医で、現在は大学病院で身体症状専門の専従緩和ケア医として働いております。がんの患者さんの全人的苦痛を評価し対処する事が日々の業務です。

身体症状というと疼痛のコントロールですが、習字で「うったて」がよいと美しい字が書けることが多いように、痛みのコントロールがスムーズに行くと 後は流れるように苦痛が緩和されることが多いです.大学病院では少し込み入った症例もあり、そのように行かないこともままありますがそんなときに活路を開いてくれるのは「家族の対話」でした。

回診に回るとき、家族がいたら超ラッキーと思いながら訪室します。家族がいたならその場はまるで「家族合同面接」状態で、出来るだけ皆さんの言葉を引き出しながら対話をする、そうすることで今ある困った問題を乗り越えることが出来るという実感は、いつしか身体症状医の自分に家族療法という心理療法の選択肢が確固たる手段になっていくのでした。

昨年の東京大会は緩和の学会を抜け出して聴講、今年は消化器外科の学会にめもくれず、家族療法学会のみに参加。今年は家族療法学会総会で事例検討と自主シンポジウムをさせていただくという貴重な経験をさせていただくこととなりました。

事例検討におきましては東豊先生、赤津玲子先生に御指導を頂き、我々が日頃臨床で積み重ねていることが間違ったもので無いと言うことに確証を得ることが出来、大変有り難い時間を頂きました。

自主シンポジウムにおきましては、最後の時間のセッションにもかかわらず多くの方に参加していただきました。緩和ケアにおける家族療法で我々が大切だと思っていることを事例を通じてお伝えし、共有できこの上ない幸せを感じました。

ふと思います。緩和ケアの啓発 DVD のなかに「緩和ケアの考えはすべての医療者の心構えとして現場で浸透するべきもの」というフレーズがあるのですが、がんに限らずどんな病気も、問題も、家族を単位とした生活の中で育まれるものだと思います。このような時代にこそ「家族療法がすべての支援者の心構えとして現場で浸透」すれば、きっと“強い日本を取り戻す”ことや“集団的自衛権”などに拘泥しなくとも良い社会になるでしょうし、家族療法が化石になっているのだろうなと思うのです。

最後に非常に良く準備された学会でした。スタッフの清々しさもチームワークも良かったです。どうもありがとうございました。

名古屋市立大学病院緩和ケア部 坂本宣弘

日本家族研究・家族療法学会地域ワークショップ in 京都のご案内

平成 26 年度の地域ワークショップは、平成 27 年 3 月 1 日(日)に、京都の龍谷大学大宮学舎で開催を予定しています。午前中には渡辺俊之会長から「日本家族研究・家族療法 学会の取り組みについて」のお話と、地域ワーク実行委員長の吉川から「家族療法 広義と狭義の実践」を予定しております。

午後は、日本における家族臨床の第1人者の講師による8つの分科会を予定しています。

  1. 家族療法入門講座「家族ライフサイクル理論を中心に」
    講師:中村伸一(中村心理療法研究室)/赤津玲子(龍谷大学)
  2. 家族療法基礎講座「ジョイニングとリフレイミング」
    講師:東豊(龍谷大学)
  3. 家族療法基礎講座「家族療法を基礎とした新たな臨床的展開のエッセンス紹介」
    講師:植村太郎(神戸労災病院)
  4. 家族療法実践講座「複数面接における視覚的情報収集」
    講師:吉川悟(龍谷大学)
  5. 家族療法応用講座「産業メンタルヘルスにおけるシステムズアプローチ」
    講師:児島達美(長崎純心大学)
  6. 家族療法応用講座「非行臨床における家族支援」
    講師:廣井亮一(立命館大学)
  7. 家族療法応用講座「精神医療分野における家族療法と家族支援」
    講師:楢林理一郎(湖南クリニック)
  8. 家族療法応用講座「身体医療での家族療法的働きかけの活用」
    講師:清水良輔(皮ふ科しみずクリニック)

参加費は事前申し込み 5000 円(学生 4000 円)で、当日は一般、学生とも 6000 円です。 参加申し込みなど詳しい情報に関しては、学会ホームページからのリンク〈地域ワークショップ in 京都 HP(11 月末から閲覧可能予定)〉をご参照ください。参加により臨床心理士研修ポイントが取得できます。

これを機会に、改めて家族療法の基礎だけでなく、その発展や各分野での取り組みなどに関心を持っていただければと思います。

極寒の 3 月の京都ですが、冬景色の京都観光をかねておいで下さい。

たくさんの方々のご参加をお待ちしております。

平成 26 年 9 月

日本家族研究・家族療法学会地域ワークショップ in 京都
実行委員長 吉川悟(龍谷大学文学部)
実行委員会事務局
E-mail : ft.kinki15@gmail.com

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