Japan Association Family Therapy

News Letter No.73 (2012/04/16)

第29回山口大会へのご案内

山口大会の詳細については、これまでHPなどでアナウンスしてきましたので、今回は会場である山口県と山口市についてかいてみましょう。

山口県というと大河ドラマでもとりあげられた明治維新や毛利家が有名ですが、山口市内には毛利以前の大内氏に縁のある寺社が多く残っています。代表は瑠璃光寺の五重塔(国宝)で、その佇まいにspiritualityを感じ、涙をながして感動する外国人観光客もいるほどです。文学好きの方なら中原中也記念館、温泉好きの方なら全国からマニアが訪れる清水温泉なども楽しんでいただけるのではないでしょうか。

「家族」という観点からすると、いわゆる家父長を中心とした家族という文化は健在ですし、地域が家族を支えるコミュニティーも、山間部、漁村、離島では機能しているところがあります。一方では人工の減少と高齢化、地元の経済の不振も影響している「貧困」家庭の増加という問題も抱えています。このような現状は、福祉・教育・医療の現場で家族を支援することの重要性と困難さを増しているようにも思えます。

山口県に住んでいると、家族の支援者が元気にならないと家族も元気になれないのはわかっていても、支援する方法を模索する過程で疲弊していく専門職の方々にしばしば出会います。本大会の「家族の未来 支援者の現在」というテーマもそんな地元の事情が反映されており、支援者が家族療法・家族支援を学ぶためにどんなことが大切なのかが議論できるような企画を盛り込んでみました。

大会は学びの場でもあるだけでなく交流の場でもあり、大会顧問の牧原先生はおもてなしの充実を指示され、大会長の加登田先生は、交流会会場の選定や試食会に直接、関わっています。交流会の申し込みにもれた方や当日の受付を予定している方には、湯田温泉を中心に山口市で、たのしくおいしく交流していただけるスポットに関する情報を準備してあります。

では、来る6月1~3日、山口でお会しましょう。

大会副大会長 加来洋一

「認定スーパーヴァイザー」制度委員会報告

児島達美(長崎純心大学)

 今年度より、本学会の「認定スーパーヴァイザー(以下、認定SV)」制度の正式な運用がスタートしましたので、あらためてその準備段階も含めて現況をご報告いたします。

【準備段階】

本制度の骨格となる審査実施要項が丸2 年の準備を経て完成するのに合わせて、次の課題となったのは、運用の中核となる審査委員会の設置でした。ところが、ここにきて難問にぶつかることになります。というのは、審査委員会の委員は「認定SV」を有していなければならないのですが、この時点では、まだ誰一人として「認定SV」はいないからです。そこで、学会長の命により、最初の「認定SV」審査については評議員会がその責任をもつこととなり、申請者として、まず、この制度創出の任にあたってきた村上雅彦、石井千賀子、児島達美の3 名が指名を受けました。この3 名は、審査実施要項に基づく申請書類を学会長に提出し、平成23 年4 月1 日の評議員会における書類審査により3 分の2以上の議決をもって最初の「認定SV」として認められました。この経緯については、同年6 月4 日の第28 回静岡大会での総会にて報告されました。

【現況】

さて、下記の平成23 年度「認定SV」審査日程及び手続きにつきましては、すでに前年10 月「家族療法研究27 巻3 号」にて会員に公告しておりましたので、上記3 名による審査委員会(委員長:児島達美)の設置と共に、文字通り、本制度の本格スタートとなったわけです。
(1)申請期間:平成23 年8 月1 日~8 月31 日
(2)審査期間:平成23 年10 月~平成24 年1 月頃(書類審査及び面接審査)
(3)結果通知:平成24 年5 月頃

早速、多くの会員から「認定SV」申請の意向が寄せられましたが、今年度は、東日本大震災の影響等から申請書類を期日までに揃えることが難しいという理由により、申請した会員は2 名でした。書類審査では、いずれの申請者についても提出された書類に不備なしと判定し、平成23 年12 月18 日、順天堂大学にて、面接審査を実施しました。それぞれ約1 時間、申請者と審査委員の間で真剣なやり取りが交わされました。その結果をもとに、現在、審査委員会では、その最終的な審査をすすめているところです。

今回の特に面接審査は、審査委員自身にとっても大いに勉強になるとともに、この「認定SV」制度の意義を強く感じた次第です。

平成24 年度審査日程もほぼ同様の予定です。多くの会員の皆様が「認定SV」の申請をされるよう願っています。詳細については、学会事務局にお問い合わせください。

ワークショップin 長崎のお礼とご報告

実行委員 田崎みどり(長崎純心大学ケアセンター扇町)

 去る2011 年12 月4 日(日)、児島達美実行委員長のもと、長崎純心大学で地域ワークショップin 長崎を開催いたしました。

午前は、湖南病院・湖南クリニックの楢林理一郎先生に「家族療法のさらなる展開」というタイトルでご講演をいただきました。その後の分科会は、①渡辺俊之先生(高崎健康福祉大学)の「個人療法と家族療法をつなぐ-家族がいないクライアントはいない-」、②後藤雅博先生(新潟大学学部保健学科)の「家族心理教育の理論と実際」、③吉川悟先生(龍谷大学)の「協働モデルにもとづく学校教育相談」、④福山和女先生(ルーテル学院大学)の「ソーシャルワークと家族療法」、⑤岡本吉生先生(日本女子大学)・岡本潤子先生(さいたま家庭裁判所熊谷支部)の「離婚と家族臨床」、⑥中村伸一先生(中村心理療法研究室)の「うつの夫婦療法」、⑦磯貝希久子先生(ソリューション・ワークス)・藤岡耕太郎先生(八幡厚生病院)の「解決構築アプローチによる家族支援」、といった豪華な7本のワークをご用意致しました。

ご参加頂いただいたみなさまからは、個別のワークでの学びの他、家族療法を以前より身近に感じた等の感想も多く聞かれました。参加者数141 名のうち9 割以上が非会員という内訳でしたので、長崎地区での家族療法の啓発という目的は達せられたのではないかと考えております。

最後になりましたが、今回のワークショップの会場は児島実行委員長が在籍しております長崎純心大学です。長崎らしい内海の静かな大村湾を眺めることができ、豊かな自然に恵まれた学舎ですが、交通の便は決してよいとは言えません。改めまして、このような山の会場まではるばる足を運んでご参加いただきましたみなさま、そして講師の労をお取りいただきました先生方に感謝申し上げます。どうもありがとうございました。

無人島に持って行きたいこの一冊

牧 久美子(神戸市・兵庫県スクールカウンセラー)

 おもしろいお題をいただいたので自由に書いてみたい。無人島で読むなら、時を忘れさせてくれるくらい、想像力を駆り立てられる物語がよいと思った。子どもの頃に読んだ一冊の童話を思い出した。「そばかす先生のふしぎな学校」である。話の内容を忘れたころにもう一度読み返してはそのふしぎな世界に引き込まれ、そして物語の結末に毎度驚いたような記憶がある。作者のヤン・ブジェフバはポーランドの代表的な児童文学作家・詩人で、この童話もポーランドでは子どもたちに大変親しまれてきた作品だという。

クレクス先生はそばかすだらけのふしぎな先生。この本はクレクス先生の寄宿学校で起こる奇想天外な出来事を綴った物語である。学校にはA から始まる名前の男の子しかおらず、主役はアダムという12 歳の男の子。クレクス先生はそばかすを毎晩取り外しては金のかぎたばこ入れにしまい、翌朝取り出してはまたつける。夜寝る時には先生はどんどん小さくなり、朝になると耳にポンプを差し込んでふくらませて元のサイズに戻る。その姿を想像するだけで子どもの私はわくわくした。生徒へのご褒美もそばかす。このそばかす、頭もよくなるし、風邪にも効くらしい。ほかにも、毎日違う味のソーダ水が出てくるシャワー、いろんな料理やお菓子に変わるガラス玉や絵の具、死んだ愛犬に会える「犬の天国」、語尾だけをしゃべるムクドリのマテウシ、そばかす先生の秘密などなど、おもしろいものばかり。学校の中にはいろんな童話へつながる扉があって、アダムが「マッチ売りの少女」の物語の中にマッチを一箱もらいにおつかいに行く場面は私の一番のお気に入りだ。私たちの日常ももしかしたら誰かの童話の世界なのでは?と何度も思ったものだ。

大変おもしろい童話なのだが、ずいぶん前に絶版になってしまった。ところが近年復刻版が出版されたという。現代の子どもたちにもぜひ読んでもらいたいが、大人も楽しめる作品だ。いつか機会があれば無人島のお伴にいかがだろうか?(ちなみに「クレクス」とはポーランド語で「インクのしみ」なのだそうだ!)

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