Japan Association Family Therapy

News Letter No.72 (2011/07/15)

お蔭様で第28回静岡大会を無事終了することができました

実行委員長 平岡篤武(静岡県健康福祉部こども家庭課)

 大会、WSに御参加下さいました皆様どうもありがとうございました。大会、WSに延べ612名(実人員419名)の参加者を得ることができました。何とか無事終了できたのも、裏方に徹していただいた実行委員の皆様のお陰と感謝しております。天候にも恵まれ、初日にはホールから、この時期では珍しい雲上に冠雪を残す富士山を、参加者の皆様にお見せすることができました。

近年虐待問題で話題に上ることが増えた社会的養護の分野は、家族療法実践の裾野を拡げる分野であると考え、今回の大会テーマを「家族再生を支えあう実践」としました。シンポジウムⅠ、Ⅱでは、個別ケースやシステムへの支援実践を取り上げ、一般演題、臨床報告ではこれまであまり発表のなかった児童養護施設、情緒障害児短期治療施設等から発表して頂くことができました。

ランチョンセミナーには、浜松医科大学中村和彦先生に自閉症の脳機能メカニズムに関する最新研究をお願いしました。基調講演は児童養護施設の養育の質が向上しているという実証的で現場が励みになる調査結果を基にした村瀬嘉代子先生のお話です。現実の家族生活が著しく欠損した場合や、いわゆる家族再統合が困難な場合であっても、質の高い施設における養育は、家庭生活の代替の意味を超えて人としての基盤となるものを子どもに贈りうる、というメッセージを頂きました。

また、3月11日に起きた東日本大震災の惨禍に対して、本学会としてどのような支援ができるのか、というテーマで学会特別企画のシンポジウムを急遽追加しました。生島浩先生、楢林理一郎先生、後藤雅博先生から、ホットな現場からの声やこれまでの支援経験の分析等を発表していただき、短時間ではありましたが、被災地への支援を考える時間を持てたのではないかと思います。また、コメンテーターをお願いしました村瀬嘉代子先生は、基調講演から引き続き5時間あまりを連続して御登壇下さり、大変感謝申し上げます。ご自身の戦争体験を挙げながら、物的・人的喪失感、理不尽さを体験した方々への節度ある、惻隠の情を源とする支援の重要性についてコメントをいただきました。

3日目のワークショップは219名の参加でしたが、約73%が非会員でしたので、家族療法に関する啓発、研修の目的は達せられたのではないかと考えています。

皮膚科からの参戦

清水 貴子(皮ふ科しみずクリニック)

 今回の学会参加は、昨年の福島に続き2度目である。福島では磐梯熱海という温泉街に宿をとり、学会場と温泉旅館の往復という非日常的スタイルを楽しんだが、今年は静岡の焼津へ一人旅。これは『私流学会の楽しみ方』の一つである。部屋の窓から大海原を見渡せる高台の温泉宿で、新鮮な魚介類と静岡銘酒に舌鼓。静岡はお茶も旨いが他にも旨いものが沢山ある。学会の後、皆で行ったおでん横町。あそこもいい!昭和的な佇まいが何とも癒される。勿論、名物静岡おでんも店の風情と相まって絶品だった。

さて、前置きが長くなってしまったが、何故皮膚科という身体医学の立場から参加するのか。実は昨年初参加の懇親会で、「どうして皮膚科が?」「皮膚科が家族療法学会に?」と半ば怪訝そうに言われ唖然としたのである。実は今年もだが…(笑) 我々が、当たり前のように皮膚科の診療で取り組んでいることが、どうやらまだ世間には浸透していないらしい。皮膚科が?ではなく皮膚科だからこそ心身医学的アプローチが不可欠であり、家族背景が皮膚疾患(特にアトピー性皮膚炎や円形脱毛症、原因のわからない湿疹皮膚炎群等)に如何に関与しているかということを是非知っていただきたい。様々な家族の関わりと、上記のような皮膚疾患にどれほど深い関係性があるかということが患者を通して見えてくるのである。そしてまた、感情調節困難な人たちにもこのような皮膚疾患があり、当院では接する機会も珍しくない。そこで、今回も昨年に引き続き遊佐先生のワークショップに参加したが、難しい!いや…だからこそ面白くてやめられないのである。

とにかくこの学会は、我々が治療に不可欠な家族療法に関する情報の宝庫だと思っている。今年は、社会的養護におけるシステム支援の領域に触れることができたし、自主シンポジウムの『システム論』についての先生方の掛け合いも、其々の個性が光る心理合戦が見ものだった。次回も楽しみである。

さて、来年は何処に宿を…。

感謝

西山達二(京都府社会福祉事業団桃山学園)

 この度、日本家族研究・家族療法学会第28回静岡大会に参加させて頂きました。テーマが「家族再生を支えあう実践」ということで、主に社会的養護における家族支援について議論されました。社会的養護の領域に携わる身としては、普段、あまり大きく取り上げられないこの領域を大きく扱って頂いたことに、非常に感謝しております。というのも、私自身、児童養護施設の心理職として、この領域に入って4年目ですが、その実感として、児童養護施設は、心理職にとって、まだまだ未整備の領域だと感じますし、今回の議論でも取り上げられました、子どもやその家族の問題、施設内での暴力の問題、職員のバーンアウトなど様々な問題を抱えている場でもあります。また、児童福祉領域一般に言えるかと思うのですが、1人1人の子どもやその家族に、本当に多くの人間が関わるため、その中で、心理職がどのように振る舞うことが有効な支援につながるかについても、日々悩ましさを感じる所であります。

そんな中ですが、これも実感として、この領域での家族療法的認識や手法は非常に有効であるとの確信を得ておりますし、1人1人の子どもやその家族に有効な支援を行なっていくために、さらに広まって欲しいという思いがあります。そういった意味で、本大会は、参加された方々から色々な刺激を受け、自分自身にとっても有意義なものであったと思いますし、改めて、そういったテーマを掲げて大会を運営して頂いた主催者の皆様に感謝を申し上げます。

「第28回静岡大会へ参加して」

芳賀まゆき(国立病院機構 新潟病院)

 第28回大会へ向けて、新潟の青々とした田んぼから茶畑と富士山の見える静岡まで向かう途中は、様々な思いが混ざっていました。大学時代を過ごした静岡への思い、震災後から1度も会えていない福島大学院の生島ゼミの後輩に会える(3名が参加しました)という思い、就職してから初めて職場の名前を背負って学会へ参加する思い…などというと大げさかもしれませんが、それをお土産にして、会場へ向かいました。

「家族再生を支え合う実践」とテーマが必然なる偶然のように基調講演やシンポジウムが設定されており、家族が再生していく過程やそれを支えるチームとしての機能について多くの発表がなされていました。私自身もポスター発表で、これでよかったのかと非常に迷いながら進めてきた高齢犯罪者にナラティヴ・アプローチを試みた事例を発表しました。どの報告者やスーパーヴァイズの先生方も臨床の中でご苦労されながら経験し、つかんできた貴重な視点を伝えてくれているのだと思い、こんな風に共有しながらシステムを作り上げていくのだなと心にしみじみと感じました。

3日目のワークショップでは、緩和ケア領域における家族支援に参加し、ケースを検討する中で他の方々の意見を聞いていると、「あっ」と気づくことが多く、自分が病名や治療の経過や主訴などから思い込みではなく、いかに想像力をフル活用していけるかを実際に感じることができる有意義な研修となりました。

特別シンポジウムの震災支援では、文化による家族の形態の変化や支援者への支援も重要であることを学び、人はシステムの中で生きていることを再認識しました。震災後の話を報告者でもあった生島先生に話した時に、「あなたらしいよ」と笑って言ってくれたことが1番ほっとしたことでした(どういう意味かはさておき、ポジティブに受け取りました)。困難な状況でも「らしさ」が保たれたり見えたりすると安心するような気がします。環境が変わってしまっても、福島県の印象が大きく変わってしまっても、変わらないもの、変えていけるものを大切にし、家族のもつ「家族らしさ」の中にある回復力を生かして「家族再生」を“支える”のではなく、支援者も含め“支え合って”いくのかなと感じました。

最後に、前年の福島大会のスタッフとしての経験から、運営するにあたっては大会事務局の皆さまは大変であったと察します。セッションの合間に見せていただいた富士山や静岡名物のお弁当など細かい部分に至るまでご配慮の行き届きた大会でした。本当にありがとうございました。

第29回山口大会のご案内

大会副会長 加来洋一(山口県立こころの医療センター)

大会テーマ:家族の未来(みらい) 支援者の現在(いま)

【日程】平成24年6月1日(金)~3日(日)

【会場】山口県総合保健会館(6月1日~3日):山口県山口市吉敷下東3丁目1−1

パルトピア会館 (6月3日) :山口県山口市神田町1-80

【プログラム】

6月1日(金):大会企画、基調講演
大会企画シンポジウムⅠ、一般演題、ランチョンセミナー(兼行浩史)、交流会

6月2日(土):大会企画シンポジウムⅡ、一般演題、臨床報告、自主シンポジウム、ランチョンセミナー(渡邉義文)、東日本大震災関連シンポジウム、総会

6月3日(日):ワークショップ

平成11年に牧原浩先生を大会長に第16回大会が開催されて以来、2度目の山口県での開催になります。この13年間に、家族の有様や家族の提示してくる「問題」も多様化し、家族を支援する側に求められる知識や技術もより高度になってきています。このように変化し続ける家族と家族にかかわる場をめぐって、本大会では、支援する側の現在(いま)をテーマにしました。
企画としては、さまざまな職域で家族にかかわっている、家族療法を実践しているベテランからこれから実践しようとしている人たち―いわば多世代にわたる支援者―が相互に伝え学び、議論できる内容を予定しています。おいでませ!やまぐちへ。

1.大会企画:牧原浩(小郡まきはら病院) 加登田惠子(山口県立大学)
牧原浩先生を、大会長の加登田惠子先生がご専門であるライフヒストリー研究の技法をもちいてインタビューします。我が国の家族研究・家族療法の歴史そのものであるといえる牧原先生からどんなナラティヴが紡ぎだされることでしょうか。

2.基調講演:児島達美(長崎純心大学)
学会認定スーパーヴァイザー制度も始まり、すでに認定されている児島達美先生に、家族療法を教える/学ぶということについて基調講演をしていただきます。指導的な役割におられる参加者は「教える」について、初心者、あるいはこれから使ってみようとしている参加者は「学ぶ」について考えることができる機会になる企画にしたいと考えています。

3.大会企画シンポジウムⅠ、Ⅱ
家族が提示する「問題」や「疾患」に対してさまざまな職域でかかわりながら、家族への支援を実践しているシンポジストに、家族療法を現場でどう使っているか、どのように家族療法を学んできたか/教えているか、について発表していただき、コメンテーター、フロアを交えて議論を広げ深めることのできる企画を予定しています。

4.東日本大震災関連シンポジウム
東日本大震災支援委員会との共同企画のもと、大会が開催される来年の6月の時点でも現在進行形である東日本大震災に関するシンポジウムです。

5.ワークショップ
本大会ではワークショップ企画委員会と共同で、全国から、そして開催地とその近辺からの参加者のニーズに応えることのできる7つのワークショップを企画します。

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