Japan Association Family Therapy

News Letter No.67 (2009/07/06)

第26回大会をふりかえって

岡田隆介
(広島市こども療育センター)

 たくさんのことを学ばせてもらった家族療法学会へのお礼として、還暦をすぎた自分の臨床の区切りとして、力不足を承知で第26回大会をお引き受けすることにしました。この地で開催する以上、ヒロシマにこだわろう、それが村上会長との話しあいで最初に決まったことでした。

わたしも村上会長も、この街がもっとも大変だった時期を知りません。街の発展にほとんど貢献していないという小さな痛みがあります。その意味で、家族を中心に据えた本学会をここで開催することは自分たちの使命である、あえてそう気負って臨むことにしました。

特別講演を前広島市長でジャーナリストの平岡氏にお願いすることは、すぐに決まりました。ヒロシマのソフト面の復興、とりわけ家族機能の回復には多くの学ぶ点があると考えたからです。また、「変貌を遂げつつある社会とさほど進化しないヒトの間にあって揺らいでいる家族」が抱えているものを、臨床社会学という新たな視点を絡めて論じたら家族療法の新しい役割が見えてくるかもしれないと考え、基調講演に立命館大学大学院で臨床社会学を実践しておられる中村正先生にお願いしました。

こうして骨格は固まったのですが、そこに突如として新型インフルエンザという伏兵が立ちはだかりました。けっこう振り回されたあげく無事終わったわけですが、意外にもそのことにあまり感慨はありません。それは、いま、わたしの心に多くの人からいただいたねぎらいの言葉が溢れているせいです。臨床家としていまさらこんなことを口にするのは恥ずかしいのですが、ねぎらわれるだけで本当にエネルギーが沸きました。それは相手の方との距離には関係ない、まさに言葉それ自体に潜む力のように感じました。これからは、じっくりと臨床の場でそのことをみつめなおしてみようと思っています。

最後になりましたが、大会に足を運んでくださったみなさま、ご協力いただいたみなさま、本当に有り難うございました。微力ながら、村上会長とともに本学会に力を尽くすことでお返しをさせていただきます。

『広島城から学んだこと』

喜多徹人
(神戸セミナー)

 職場から金曜日のWSに4名が参加することになり、交通費節約のため車1台で神戸から広島に向かいました。

神戸セミナーは不登校経験者・高校中退者が200名以上在籍する大学受験予備校です。

保護者様の傾向としては教育に関心が高く、医師、教員、大手企業管理職などの職業が目立ちます。本人に勉強を指導することよりも、その前に家庭での接し方の「ガイダンス」を保護者様に行ない「家庭でのストレス」を下げてもらうことが重要であり、幹部職員たちは本学会でトレーニングしております。

WSの前日は生徒のソフトボール大会のため、日焼けと筋肉痛が3名。打ち上げではしゃぎすぎてやや二日酔いの1名を載せた車は広島市内に入りました。おおっこれがヒロシマかと感慨にふけっていると左前方にお城の天守閣が見えてきました。

「あれは何だ?」「そりゃお城でしょう」「そりゃ見たらわかる!なんてお城だ?」「やっぱ広島城ですかね」「ちょっと小さいなぁ」「いやそれは姫路城を見慣れているからだ。姫路城は大きすぎる。あれをスタンダードと思ってはいけない」「なるほど思い込みですね」とさっそくリフレーミングの演習をしながら会場に着きました。私は吉川悟先生のWSで最前列に座り、内容はもちろんですがトークの技術と場の雰囲気をコントロールする力に改めて感動していました。(吉川先生は「恐いキャラ」だけでなくみんなを笑いに巻き込む芸風もお持ちなんですね。関西人だし当たり前か!)あまりのハイテンションに隣のワークのお部屋から「ヤカマシイ!」とクレームが来てしまいました。(お隣の皆様ゴメンなさい)

ワークでは「DNA鑑定の話題から話をつなげて広島城まで持っていく」という課題で、「よしよし広島城はさっき見たぞ」と思いながら力不足でうまくいきませんでした。

オフィシャルの懇親会がないのは残念でしたが自主懇親会でおいしい岩牡蠣をいただき、多くの方と親密になり、浴衣姿のお姉さんたちを「見学」し昼も夜も楽しく過ごさせていただきました。

村上大会長はじめスタッフの皆様、インフルエンザ問題で大変な中を開催していただき本当にありがとうございました。

第26回大会に参加して

安江 高子
(関内カウンセリングオフィス)

 梅雨の足音が聞こえる中、広島にて開催された第26回大会に参加させていただきました。「家族;命のつながりと変化のうねり」をテーマとした本大会では、現代の家族をとりまく変化と、その中での援助のあり方を検討する企画が、数多く盛り込まれていました。被爆体験からの、広島の街と人々の再生についてお話し下さった平岡敬先生、現代家族を特徴づける「不安」の諸相をお示し下さった中村正先生、臨床現場の最前線から感じ取れる家族と治療の変化をお伝え下さった大会長村上雅彦先生、それぞれのご講演。そして、開業臨床・加害者臨床・学校臨床・発達支援という幅広い臨床現場における、多様な実践報告をもとに議論が展開したシンポジウム「社会の変化と臨床のかたち」。いずれの先生方も、豊富なご経験を惜しみなくご披露下さり、説得力あるお話と議論が展開されていたように思います。

一方で、自分の経験をふり返ると、「臨床現場で出会う家族が変化している」との実感は薄いようです。「変化」とは過去との比較によって認識できることがらなのでしょうから、これは私の臨床経験が短く浅いためかもしれません。翻って考えれば、今後私も経験を積むほどに、従来の対応では歯が立たない「家族の変化」に遭遇し、困惑することが増えるということかもしれません。時代とともに「家族」が変化し続ける以上、臨床家自身もそれに合わせて、つねに自分を変え続けていかなければならない、ということでしょうか。どんなに腕をみがこうと努力しても「完成形」はあり得ないんだなあ…とため息をつきつつ、まあぼちぼち頑張ろうよと自分を励まし、帰宅の途につきました。

本大会は、新型インフルエンザの流行により開催が危ぶまれ、懇親会も中止となりました。大会実行委員会の方々におかれては、大会準備につきもののあまたのご苦労に加え、予期せぬ事態への多くのご心労があったことと思います。けれども、それを微塵も感じさせない笑顔と、心配りの行き届いたご対応のおかげで、たいへん気持ち良く参加させていただくことができました。この場をお借りして、お礼を申し上げたいと思います。

第26回大会印象記

辻本聡
(メンタルクリニッククラルス)

 6月5日から7日までの3日間、広島市市民交流プラザ、安田女子大学を会場に開催された「家族研究・家族療法学会」に参加しました。大会テーマは「家族;命のつながりと変化のうねり」と設定され、講演、演題、ワークショップのどれもがそれぞれに興味の湧くものでした。その中で自分なりに、どんな風に「家族とその変化」について学んだのだろうかと考えながら、いくつかのプログラムを振り返ってみました。

初日は吉川悟先生のワークショップ「学校における家族支援」に参加しました。講義もさることながら、とっつきやすいようでやってみると難しい、しかしかなり実用的なエクササイズが盛りだくさんでした。学校現場でも多様化している「家族」を実際に援助する際に、言葉で説明するより重要な、押さえておくべき点について体験させて頂きました。言葉で再現するには難しいのですが、“多様化している家族といっても、面接でのこういう振る舞いは大切である”ということを存分に教えて頂きました。

2日目以降の演題は、発表のそれぞれに実践上のポイントがあって勉強をさせてもらったのですが、どの発表の時にも、「目の前のクライエントにとって家族とはどんな家族だったのか、今どうなっていて、この後どうなっていくのか」といったことをぼんやり考えていたように思います。実際、発表される先生方もフロアからのご指摘も、その点を押さえたコメントが必ずありました。自分の日々の臨床を振り返ると、「目の前のこの家族の移り変わり」を思いめぐらす視点を疎かにし、ただ「何とかしよう」と意気込み過剰になっていたのではと、今更ながら改めて気づきました。

大会テーマにある「変化のうねり」とは、社会的な現象としての「家族という形の変化」を指してもいるし、家族それぞれの固有の歴史による「変化」も当然含まれるのだと思います。今大会を通して、少しはそのことへの意識が生まれたことは、大変に有意義でした。最後に、大会運営に関わったスタッフの方々に感謝申し上げます。ありがとうございました。

大会長挨拶

日本家族研究・家族療法学会 第27回福島大会 大会長 生島 浩
(福島大学人間発達文化学類教授)

 日本家族研究・家族療法学会第27回大会を福島県郡山市で開催いたします。本大会のテーマは,『リスク・ファミリーの臨床』としました。リスク・ファミリーとは,DVや虐待を行うような危険な状態にある家族だけを意味しません。わが国の殺人事件の半数は親族間の出来事であることからも明らかなように,家族そのものが「リスク」な存在であるのかもしれません。しかしながら,私は,夫婦や親子関係の権力性や依存性を忌避し,諸問題の根源として家族システム自体の放逐を唱える論には与しません。あらゆるシステムはリスクがあればこそ動くわけで,「100%安全な状態」とは活動停止を意味するからです。

そこで,臨床の目的も,リスク・アセスメントの精度を上げて,「安全であること」を保障し,リスク・ファクターを消し去ることではないはずです。葛藤を抱えながらも,きちんとガタガタして,必要なサポートを得られるようSOSを出すことだと考えます。支援を行う者にとっては,加害者と被害者と呼ばれることになった家族員双方に,それも同時になされる必要性と困難性があります。そのときに不可欠な円環的認識論は,システム論に基づく家族療法から学んだ最大の知見です。本大会をシステムズ・アプローチである家族療法の原点を見つめ直して,基本的な手法の修得に努める場にしたいと考えました。

企画内容の特徴として,一つ目は,第21回大会に続いて家族面接を学ぶDVDの第2弾を制作しました。2つ目は,スーパーバイザーを学会で認定する作業が進んでいますが,スーパービジョン付きの臨床報告の機会を設けました。3つ目は,学会主催のワークショップを大会終了後の6月6日(日)に行い,現職者が参加しやすいように配意しました。

会場のある郡山市は,東北新幹線や福島空港が使えるアクセスの良いところです。ぜひ,全国の学会員からご発表いただき,活発な論議,交流が行われることを期待します。

第27回福島大会について

日本家族研究・家族療法学会 第27回福島大会 大会長 生島 浩
(福島大学人間発達文化学類教授)

大会日程 本大会:2010年6月4日(金)~6月5日(土)
ワークショップ 2010年6月6日(日)
会場 ビッグパレットふくしま(福島県郡山市:東北新幹線郡山駅,福島空港よりバス)
テーマ 『リスク・ファミリーの臨床』
プログラム概要
口頭・ポスター発表,臨床報告(スーパービジョン付き),自主シンポジウムのほか

6月4日(金) 基調講演:大渕憲一(東北大学院文学研究科教授)
「家族と暴力-社会心理学の観点から(仮題)」
大会長講演:「リスク・ファミリーの臨床(仮題)」
ランチョンセミナー(昼食付き) 講師 丹羽真一(福島県立医科大学医学部教授)
午後:大会企画シンポジウムI 家族臨床から「事件」を観る
6月5日(土):大会企画シンポジウムII  説き明かし・私の家族面接
6月6日(日) ワークショップ 9:30~16:00
家族面接入門:中村伸一(中村心理療法研究室)
学校臨床における保護者支援:大河原美似(東京学芸大学)
家族心理教育:後藤雅博(新潟大学)
家庭医と家族支援:葛西龍樹(福島県立医科大学)渡辺俊之(高崎健康福祉大学)
発達障害と家族支援:内山登紀夫(福島大学)中田洋二郎(立正大学)
子ども虐待と家族支援:近藤直司(山梨県立精神保健福祉センター)
家族臨床に役立つ認知行動療法:遊佐安一郎(長谷川病院)
家族へのアウトリーチ:西尾雅明(東北福祉大学)
非行臨床における家族支援:廣井亮一(立命館大学)岡本吉生(日本女子大学)
家族看護:畠山とも子(福島県立医科大学)
家族の死に関わる臨床:石井千賀子(ルーテル学院大学)
事務局長 渡辺 隆(福島大学)
(〒960-1296
福島市金谷川1番地 福島大学人間発達文化研究科学校臨床心理専攻)
FAX:024(548)5172 大会メールアドレス:jaft2010@educ.fukushima-u.ac.jp
HP:http://www.wdc-jp.biz/jaft/conf2010/ 6月末より公開予定

日本家族研究・家族療法学会地域ワークショップin鳥取へのご案内

森田俊宏
(実行委員長 鳥取市立病院)

 今年,10月25日(日)に,鳥取で地域ワークショップを開催させていただくことになりました。昨年までしばらく東日本での開催が続いていましたが,今年は西日本,しかも山陰での開催です。鳥取というと,「交通が不便」とか「鳥取までわざわざ」などとよく言われます。確かに,鳥取にお越しいただくとしても,時間的にかなりのご負担をおかけすることになると思います。

しかし我々実行委員は,そのような地理的ハンデを克服すべく,参加される皆様に満足していただけるように,充実した内容にしようと準備を進めております。そのために,今年のワークショップの分科会は,例年よりも1つふやして7分科会にしました。また,家族支援が必要とされる領域で働いておられる方々により多く参加していただけるように,心理領域はもとより,医療・看護・福祉・介護・教育・司法など,さまざまな対人援助領域での分科会を用意しました。さらに,「家族療法の基礎」分科会では,家族療法の基礎をしっかり学習していただくことを考えました。

お招きした講師も学会の中心メンバーで一流の先生ばかりです。このような先生が同時に鳥取にいらっしゃることはまず考えられないことです。テーマにもあるように,明日からの実践に役立てていただけるような研修になると自負しております。ぜひ,このチャンスを生かしていただきたいと願っております。

自然に恵まれた鳥取では,10月下旬になると,柿やながいもをはじめ農産物や海産物の宝庫となります。鳥取砂丘などの観光とあわせて味覚も堪能していただければ幸いです。

それでは,地域ワークショップ実行委員一同,皆様のご参加をお待ちいたしております。

日本家族研究・家族療法学会地域ワークショップ in 鳥取

テーマ:家族・地域・関係者との協働をめざして
~明日からの実践に役立てるための家族療法~

◆目的: 家族療法の基礎理論・基礎技法を学び,医療・看護・福祉・介護・教育・保育・法律・警察・心理などの諸領域で,対人援助の専門的活動に役立てるため。
◆開催日: 平成21年10月25日(日)
◆日程と内容: 裏面に掲載
◆開催会場: 県民ふれあい会館(鳥取駅から徒歩5分)
〒680-0846鳥取県鳥取市扇町21番地 電話:0857-21-2266
◆参加費: 事前申込:一般4,000円/学生2,000円
当日申込:一般5,000円/学生3,000円
◆定員: 300名(先着順)
◆申し込み: 平成21年6月30日から,鳥取市立病院ホームページ(http://hospital.tottori.tottori.jp/)より申し込みとなります。
◆その他:
(1) 申し込み受付後に,内容確認・参加費振込・連絡事項などについて返信をします。
(2) 返信を受け取られた後,参加費を指定口座にお振り込みください。
(3) 参加費振込後の返金はしないので,申込者が参加できなくなった場合は,代理参加をお願いします。
(4) 定員になりましたら,申し込みは終了とします。
◆お問い合わせは下記事務局まで‥‥‥
鳥取市立病院地域医療総合支援センター内
日本家族研究・家族療法学会地域ワークショップin鳥取事務局
〒680-8501鳥取県鳥取市的場1丁目1番地
担当:臨床心理士 森田俊宏  電話0857-37-1529(直通)
E-mail:kazokuws@hospital.tottori.tottori.jp
【主催】 日本家族研究・家族療法学会
【後援】 鳥取県・鳥取市・鳥取県臨床心理士会・鳥取県医師会・鳥取県看護協会
日本精神科看護技術協会鳥取県支部・日本精神保健福祉士協会鳥取県支部
鳥取県教育委員会・鳥取県弁護士会・鳥取県社会福祉協議会・鳥取市社会福祉協議会
鳥取県社会福祉士会・鳥取県介護福祉士会・新日本海新聞社
◆日程
9:00~受付開始
9:30~10:50:全体講演「家族療法の必要性と今後の展望」
日本家族研究・家族療法学会会長:中村伸一(中村心理療法研究室)

家族療法がわが国にも息吹いて30年近くになろうとする今,本日のワークショップの分科会の内容にもあるように,わが国の家族療法・家族臨床は身体医療,介護医療,精神科医療,学校臨床,非行・司法臨床などなど,さまざまな領域に展開されている。しかし,われわれ学会員は家族療法・家族臨床の有効性と必要性を痛感しているものの,それを同僚たちに,そして学生たちにどのように伝えていけばよいのだろうか,またその果てに見えてくるわれわれの理想とはどのようなものなのか私見を述べてみたい。

11:00~16:30:分科会(昼休憩:12:30~13:30 各分科会30名~40名,先着順に割り振り)

(1) ナラティヴな緩和ケア
講師:小森康永(愛知県がんセンター中央病院)

緩和ケアほどナラティヴが似合う領域はない。死にゆく人や遺族のためのリ・メンバリングだけではなく,患者さん同士の連帯感獲得には,共同研究やリーグが欠かせないし,適応障害やうつ病の多さからすれば,外在化による心理教育も大切だろう。そして,なによりも,その中核にある「残り時間」の意識には,時間を言説と捉える姿勢で臨みたい。チーム医療での共有手段はナラティヴに尽きるし……緩和ケア非実践者も,来るべき自らの死を素材に,ここでナラティヴを学習するのも一興かと。予習する余裕のある方は,こちらをどうぞ。http://www.pref.aichi.jp/cancer-center/200/235/index.html

(2) 高齢者(認知症)とその家族への支援のポイント:在宅支援・施設連携も視野に含めて
講師:松本一生(松本診療所(ものわすれクリニック)/大阪人間科学大学)

高齢者分科会にようこそ。近年,地域の高齢化に伴い,高齢者領域でのさまざまな疾患が増えてきました。もっとも数が多い認知症は,全国で180 万人とも200 万人ともいわれる人々が病と向き合っています。分科会では,その他にも急速に数を増やしている高齢者の「うつ」,不安障害,高齢者の自死をテーマに,地域での支援と施設連携も視野に入れた診療,相談について講義し,心理教育アプローチをロールプレイで体験していただく予定です。

(3) 家族心理教育
講師:後藤雅博(新潟大学)

心理教育は精神疾患やさまざまな長期的な問題を抱える人(本人,家族を問わず)の地域生活支援に必須かつ有効とされている。今回は家族支援に焦点を当てて,参加者の体験を尊重しつつ,知識・情報を提供し,日常の困難さへの対処や社会資源の利用法を獲得することを通して,家族が少しでも楽に生活をおくれるようになることを目標とする家族心理教育プログラムの基礎と実際を学ぶ。

(4) 学校教育相談:チームで取り組む相談を中心に
講師:吉川悟(龍谷大学)

不登校,いじめ,キレる子,特別支援児童を含むクラス運営,極度の不安や緊張からくる心理的症状をもつ児童・生徒など,現代の教育相談ではさまざまな対象の子どもや保護者との相談をする必要があります。その対応の一つとして,問題解決を意識しながらも,できる限りその家族の回復力を引き出すような家族支援の実践を目指します。加えて,困難な事例に対する相談者チームとしての取り組み方など,学校での教育相談・スクールカウンセリングでの効果的な対応の切り口についても紹介します。

(5) 事例化した発達障害のライフサイクル家族療法
講師:緒方明(城ケ崎病院/九州ルーテル学院大学)

発達障害に特別支援教育,療育活動などで支援する技法はほぼ確立した。むしろ問題は,発達障害に基底にして出現する問題例への支援である。今回は発達障害での母子例,父子例,兄弟・姉妹例,夫婦例などを通し,事例化した3歳児検診例,児童虐待例,不登校例,非行例,育児失敗例,少年事件例などの「相談困難例」に対し,医療・福祉・教育・心理の立場からライフサイクルの家族療法を展開する。

(6) 家族臨床における法的介入の要点:非行,虐待,離婚,DV の解決のために
講師:廣井亮一(立命館大学)

少年非行,児童・老人虐待,D V,離婚に伴う子どもの問題,などの解決のためには,家族関係に関与する「臨床」と,問題に焦点化するための「法」の,両側面からのアプローチが必要である。当日は,事例をもとに,家族臨床において,心理的拘束・強制力を伴う法的介入をする際のプロセスと留意点について解説しながら,臨床と法の交差領域に生起する問題解決の要点を明示する。これは,法化社会における心理臨床家にとって必須の知見である。

(7) 家族療法の基礎:事例から学ぶその理論と技法
講師:中村伸一(中村心理療法研究室)

家族療法の基礎理論であるシステム理論とはどういうものなのかをまず説明する。次に,実際にシステム論をどのようにケースにあてはめ,理解し,仮説をたて,介入計画を策定するのかをいくつかの事例を通して理解する。小グループに分かれ,模擬ケースを題材に「事例検討」をし,発表しあって活発な討論をしたいと思っている。

※精神科専門医の研修ポイント(30P),および,臨床心理士の研修ポイント(2P)になります。

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