Japan Association Family Therapy

News Letter No.65 (2009/09/18)

第25会大会を開催して

田村 毅
(東京学芸大学)

私の所属する大学には、当学会で活躍している大河原美以さんと野口裕二さんがいます。実は今までにも何度か大会主催の打診があり、その度に3人で口裏を合わせて断ってきました。今回、お引き受けするのは3名の誰でもよかったのですが、あえて私がやらせていただいたのは、第一回大会から参加している私自身の思い入れというか学会へのご恩返しもあります。しかし、結果的に男性で医師である私がお引き受けしてしまった背後には、今までの学会長・大会長の顔触れも見ても、男女ほぼ半々の会員から構成され、一見、学際的でな自由な雰囲気の学会と私自身に潜んでいるジェンダーおよび職種のバイアスがかかっているのではと内心思っています。

私は、今まで小さな学会の運営メンバーをやった経験のみで、大会長は未経験です。いったいどうなることやら皆目見当がつかないまま、大役を引き受けてしまいました。でも、どうせやるならやりたいことをやらせてもらおうと開き直りました。私のキャラを生かせるとしたら「ジェンダー」、いや、もうちょっと広く取って「文化」かな。文化といえば欧米からという伝統は、この学会ばかりでなく、二度の海外体験(米国と英国)を持つ私自身も同様でした。それなら「脱亜欧入」を脱構築し、「脱欧亜入」にしてやろう。特にこの1-2年、IFTA(国際家族療法学会)やCIFA(アジア家族療法協会)などの学会でアジアの家族療法家と出会うチャンスが多かったので、彼らをみんな呼んでやろうと考えました。

有名なマスターセラピストを呼び、新しい理論・技法を教えてもらうという従来の考え方では、主催者側が交通費、宿泊費、謝礼などすべてカバーします。一方、国際学会で、お互いに学び合うために招聘するというスタンスでは、そこまで用意しなくても来てくれる場合もあります。今回お招きしたゲストのほとんどは、以前国際学会でお会いしたことのある顔見知りです。自信はありませんでしたが、あえて後者の線でお願いしたところ、基調講演のDr.Wei Yung Leeも含め快く引き受けてくれました。

しかし、その後メールでやり取りしていると、そううまくはいきません。来てくれるはずだった何人かも多忙を理由に来れないと言い出しました。しかたがない、プランを練り直そうと1-2か月思案しているうちに、続報が入り、やはり都合がついたので来れるという嬉しい知らせが入ってきました。いったい何が起こったのか?どうも、各国内で参加者同士のやりとりがあり、説得してくれたようです。後からそれを聞かされた時には、本当に救われた気持ちでした。

このように、いくらテーマや理念を掲げても実際の大会は開けません。大会準備・運営のカギは大会長ではなく、事務局長の有能さにかかっています。その点でも、私はラッキーでした。市村彰英さんは当学会での活動も長く、3年前の千葉大会で運営委員の経験もあります。久保恭子さんは当学会ではニューフェースですが、いろいろな学会で何度も事務局を経験したベテランです。初めに事務局長を打診した時は、それがいかにハードワークであるか二人ともよくご存じで、断られました。結局、二人で事務局長をやっていただくという変則的な体制となりましたが、結果的にはそれが功を奏しました。特に、久保さんの小さな体に秘められたパワーにはびっくり。だって、演題募集が始まる一番忙しい時期に第二子を出産されたんですよ。出産された1ヶ月間くらい休んだだけで、翌月からはベビーカーを引いて何度も私の研究室に足を運んでくれました。私や市村さんが決断に躊躇している時に「先生、もうそんなこと言っている場合じゃないですよ!」と久保さんから4回くらい叱られた記憶があります。

評議員の方からも、今回の実行委員は豪華メンバーだねと言われました。これだけのメンバーに加わっていただけたのも東京の利点であったかもしれません。

発表演題の査読は中釜洋子さんを中心に、岡本吉生さん、村松励さん、田中ひな子さん、大河原美以さん、野口裕二さんらベテランの実行委員にお願いしました。結果的には、すべての方に発表していただけることになりましたが、細かい修正などがあり、神経を使う作業でした。

プログラム構成は高橋規子さんにすべてお願いしました。発表する人が過去にどんな発表をしてきたかまで調べ上げ、演題の内容にしたがってテーマを分け、時間を割り付け、それに合った司会・コメンテータなどをぱっぱっと決めてくれたのは、学会を熟知している高橋さんだからこそできた神業でした。度重なるプログラム変更にも的確に対応してくれました。

中堅組実行委員の及川裕子さんと田崎知恵子さんには面倒な会計処理をお願いしました。特に今回は会場の都合で当日会場でのお金のやり取りが認められないので、すべて事前申し込みです。ウェブの申し込みと銀行への入金確認が分かれ、とてもやっかいだったと思います。確認作業が遅れ気味で、多くの参加者の方々にご迷惑をおかけしました。

英語が得意な金城理枝さんとDilk佳史恵さんには海外ゲストの対応を、林直樹さんには懇親会のすべてを、コンピュータ関係に強い岸田泰子さんにはウェブ構築を、そして、八巻秀さんにはスライド受け付けと大ホールの録音・照明をお願いしました。

若手組の榎本さやかさん、大内雅子さんは私の舎弟です。田附あえかさん、大塚斉さんは、過去の学会で知り合った仲間です。ウェブから申し込まれた参加者名簿の整理、各発表会場の対応、その他、突然発生する細かい仕事に実によく動いてくれました。将来は、彼らが学会を盛り立てていってくれることを期待します。

「どうせやるなら、やりたいことを・・・」という私の思い入れの象徴が大会4日目(日曜日)の国際ケース・カンファランスでした。通常3日間の会期を「25周年大会」ということで一日延長させてもらい、特別に企画しました。台湾、韓国、日本から3例の事例を提示し、別の国のコメンテーター2人とフロアとのディスカッションです。ちょうど韓国・日本の二カ国で行っていた企画を広げた形です。これは学会国際交流委員会と大会実行委員の共同企画です。遊佐安一郎さん、石井千賀子さんと打ち合わせを重ねる中で、始めのころは、これだけたくさんの人を海外から呼んで、しかも会員の通訳で大丈夫だろうかという疑心暗鬼的な雰囲気が漂っていたように思います。しかし、大会1ヶ月前からの国際交流委員と6名の翻訳者の集中力と、当日の会員による通訳は圧巻でした。3人の事例提供者から上がってくる原稿を翻訳し、それを各事例ふたりのコメンテータに送ります。さらにコメンテータから上がってくる原稿をまた翻訳して、英日対訳のプログラムとパワーポイント原稿にに作りこんでゆくという超人的な作業を短い期間にこなしました。

さて、まとめです。この原稿は大会が終わって2ヶ月後に書いています。今から振り返れば何とか大役をこなせた感慨に浸ることもできますが、準備中はさまざまなミスや取りこぼしに神経を使いました。大会1週間前からなぜか腰痛が始まり、大会が終わると自然に治ったのは、高崎大会の渡辺大会長と同じ体験でした。

大会長をお引き受けした体験は、出産に似ていると思います。およそ1年間、お腹(頭)の中で抱え続け、だんだんと盛り上がり、最後に大きな痛みとともに一気に産み落とします。解放されたとたん、産みの苦しみは忘れてしまいます。私の妻は、子どもを産むたびにもう二度と産まないと宣言していました。私も二度と大会長はやりません。

第25回大会に参加して

高井 恵
(新潟県 医療法人恵生会 南浜病院)

第25回大会は2008年6月に東京都代々木にある、国立オリンピック記念青少年総合センターで開催されました。学会25周年を迎えた今大会は「人、家族、そして文化:単一性の幻想からローカルな語りへ」というテーマで、アジアの家族療法家をはじめ、多くの臨床家の方々が一同に東京に会しました。英語、関西弁、関東弁、新潟弁…各地の言語が飛び交い、文化と文化が出会うってこういうことかなぁとか、様々なプログラムに参加しながらクライエントに会う時は(むしろ誰と会う時でも)いつも文化と文化が出会っているってことなんだろうなあなどと単純な頭で感じていました。

今大会の個人的目玉はなんといっても“国際ケースカンファランス”。アジアを代表する家族臨床家の先生方に直接御目にかかれる、流暢な英語は必要ない、…なんて魅力的なプログラムだろう…と思い参加させていただきました。会場に到着するなり、なんとも言えないわくわく感がキューっとこみあげ、どんなプレゼンテーションをされるんだろう、各先生方はどんなコメントをするんだろう、などなど考えている間にカンファランスはスタートしました。…大変失礼な話ではあるのですが、そこで提示された事例そのものよりもその場で行われた各国の先生方や通訳の方のやりとり、表情、振る舞い、ユーモア等々に目を奪われておりました。このときの空気感、臨場感をお伝えできないことが残念でなりません。感じるものも考えるものも山ほどあるのですが、まだまだあの日の相互作用によって起こった(と思われる)私の変化を私自身把握しきれずにいるというのが正直なところです。でも、とっても楽しい時間がすごせました。

帰り道は一人で興奮しながら帰ったことを覚えています。そんな楽しい学会帰りの新幹線。会場での通訳の先生方の姿が目に(耳に)焼き付いて、思わず英会話学習本を駅の本屋で購入してしまいました。これはあの日の相互作用が引き起こした(?)私の変化かもしれません。

こんなに素晴らしい時間を提供してくださった田村大会長、大会実行委員、事務局のみなさまに感謝したいと思います。

日本家族研究・家族療法学会に参加して

平岡篤武
(静岡県立吉原林間学園)

例年より早かった関東の入梅は一休みし、夏を感じさせる強い日差しの中、6月5日から8日までの4日間にわたって国立オリンピック記念青少年総合センターにおいて開催された第25大会に参加しました。今大会のテーマは「人、家族、そして文化」、副題は「単一性の幻想からローカルな語りへ」です。テーマタイトルだけではちょっと大きなテーマでイメージしにくかったのですが、副題からは昨年第24回大会における杉万俊夫先生の目から鱗の講義の中の「ローカルからインターローカルへ」を連想して、妙に納得していました。

今回の学会運営では、ポスター発表、臨床報告、公開シンポジウムの新設、学会主催ワークショップの講座数拡大等ありましたが、目玉は何と言っても4日目の国際ケースカンファレンスでしょうか。2日目の大会長講演、基調講演、大会シンポジウムは国際学会のようで、まだこの企画意図を十分理解できていない私にとっては4日目へのウォーミングアップになりました。田村毅先生の米国・英国留学体験を横糸に、ご自身の生活体験を縦糸に織り交ぜながらのお話は先生の思考の軌跡に触れることができ、惹きつけられるものでした。また、ウェイ・ユン・リー先生の中国人家族のビデオでは、アジアという文化の中での日中の差異よりもむしろアジアの距離の近さを実感できたのが思いの外新鮮でした。

当初国際ケースカンファレンスは、英語が特別できるわけでもない私にとって欧米の先生方の講義を通訳で聴くのと大差ない経験だろうという予想でした。しかし、実際に参加してみると(単一性の幻想ではないと思いますが)、アジアという共有文化の中での臨床の営み、という近しさを強く感じることができました。運営に当たっては、遊佐安一郎先生を中心に準備された詳しいレジュメや同時通訳等、学会員スタッフによる献身的な裏方業務があってのことと思われ、感謝したいと思います。

「国際ケースカンファレンスに参加して」

五十嵐善雄
(ヒッポメンタルクリニック)

第25回学会の翌日、国際ケースカンファレンスが開催された。私は、90年代初期に韓国、台湾、フィリピン、中国といった東南アジアからやってきた外国人花嫁の定着支援を始めた頃から、こういった国々の精神科治療はいかなるものなのかと関心を持ち続けてきた。そして今回のカンファレンスは、台湾、韓国、日本の家族療法家による困難事例を提出し、コメントしあうという刺激的な構成となれば、見逃せないのは当然である。

前日の学会総会中の香港、韓国、台湾、日本からの報告によれば、それぞれの地域の経済や社会状況はかなり近似している事が分かった。少子化の問題や経済状態においても最早格差はなくなっている。台湾ではフィリピンやミャンマーから使用人を雇い、韓国でも朝鮮族系中国人やベトナム人を外国人花嫁として迎える時代だという。

そして、当日、台湾、韓国、日本からケースが提出された。三つのケースに共通することは、恐らく保険診療ではなく、自由診療であることであろう。私が驚いたのは、台湾と韓国の自由診療の進歩である。台湾は、WHOの名誉総裁である林宗義先生の世界に開かれた姿勢が脈々と生きており、もはやアメリカを超えた精神科診療が行われているのではないかと思えた。交通事故によって75%の熱傷と片手と両足を切断した事例への、家族だけではなく、意気消沈した治療集団へのリエゾン的介入である。日本では、まだ夢のまた夢といった事例である。韓国の事例も、自由診療であろう。困難な事例とはいうものの、提供者にとっては、家族療法のモデルケースのような症例だったのではないか。弁護士夫婦間に起きた問題の処理過程であり、治療者が自信に満ち溢れていると感じたのは私だけではないだろう。吉川の症例は、学会では馴染みのある彼らしい事例だった。台湾と韓国の事例よりも、恐らくもっとも安価な治療費ではないのかと思う。ホスト国といえ、吉川はいつになく自嘲気味な事例提供だった。私は、「遠慮せず、もっと言いたいことを言ったらいいのに」と内心思ったものの、それをけしかけるほどブロークンなイングリッシュが出てこない。

個人的には、台湾のウー先生の発言には興味が持てた。言葉の問題がなければ、何時間でも話せそうな気がした。相互の文化差よりも、個人的な治療スタイルの近似が語られても良い時期なのかもしれない。

日本家族研究・家族療法学会第26回大会草案

大会長 村上雅彦(広島ファミリールーム 所長)
実行委員長 岡田隆介(広島市こども療育センター 心療部長)
事務局長 川本和司(北部こども療育センター 心理士)

大会テーマ
『家族;命のつながりと変化のうねり』

  1. 大会趣旨
    子殺し親殺し事件、キレる中高年、モンスターペーシェント・モンスターペアレント、軽度発達障害、児童虐待の増加など、社会・環境の急激な変化とともに、家族は大きく変容しているのではないかと考えられる。それは、文化の移り変わりという文脈でとらえられるものなのであろうか、それとも・・・。
    こうした時代にあって、変化への処方箋を求められているわれわれは、従来通りの家族という切り口で対応できない事態に突入しようとしているのかもしれない。とすれば、こうした変化に対して、有効なはたらきかけをするためには、どのように家族療法を展開発展させていけばよいのであろうか。
  2. 日程 平成21年6月5~7日
  3. 会場
    ワークショップ 広島市まちづくり市民交流プラザ
    広島市中区袋町6番36号TEL082(545)3911
    本大会 安田女子大学
    広島市安佐南区安東6丁目13番1号 TEL:(082)878-8111(代)
    懇親会 広島アンデルセン
    広島市中区本通7-1
  4. プログラム
    6月5日 ワークショップ 5~6会場を予定
    6月6日 (大会第一日)

    午前 演題発表
    特別講演 平岡敬(前広島市長) 演題『希望のヒロシマー崩壊と再生―(予定) 』
    午後 基調講演
    中村正(立命館大学大学院教授) 「家族不安社会をこえて(仮題)」
    大会長講演 村上雅彦大会長 演題『家族療法の可能性』
    大会企画シンポジウム『社会の変化と臨床のかたち』

    シンポジスト 吉川悟 龍谷大学教授
    中村正 立命館大学教授
    佐藤暁 岡山大学教育学部大学院教授
    山根希代子 広島市西部こども西部療育センター所長
    指定討論 狩野力八郎
    6月7日 (大会第二日目)
    大会企画シンポジウム 「スーパービジョンを考える(仮題)」予定
    演題発表
    研修症例
    自主シンポジウム

日本家族研究・家族療法学会第26回大会のご案内

村上 雅彦
(広島ファミリールーム)

大会長から一言

学会が開催される6月5日~7日は、広島では「とうかさん」と呼ばれるお祭りが開かれます。それは、広島三大寺院祭りのひとつで、390年前から始まっており、「ゆかたの着始めの日」とされていて、多くの方が「ゆかた」で訪れるお祭りです。夏の訪れを告げる風物詩です。せっかくの機会ですから、ぜひ足を運んでみて下さい。

大会プラグラムは、広島で開催されるということですから、広島ならではのものをと考え、前広島市長の平岡敬氏をお招きし、特別講演をしていただくことと致しました。内容としては、原爆ですべてが崩壊したと考えられるところから、広島の都市や家族がどのように復興できたのか、特に心の回復などソフト面についてお話していただく予定です。これまでハード面についてはずいぶん語られていますが、ソフト面については、あまり語られたことがありません(広島県民でもあまり聞くことがなかった内容です)。このお話から、崩壊の危機を感じさせる現代の家族への援助について大いなる示唆を与えられると思います。その他、プレ・ワークショップ、大会長講演、基調講演、大会企画シンポジウム、一般演題発表、研修症例発表、自主シンポジウムなど、現在プログラムを作成中です。詳しい内容につきましては、9月の終わりころにはホームページが開設される予定ですので、そちらをご覧いただければと思います。

大会の成否は、参加のみなさまのお力にかかっていると思います。ぜひとも多くのご発表、ご参加をいただきますようお願い申し上げます。

『日本家族研究・家族療法学会地域ワークショップin山形』へのご案内

大会会長 五十嵐善雄

前会長の楢林先生より、昨年の京都での総会の折に、静岡の後に山形で地域ワークショップを開いてくれないかという打診がありました。これまで地域ワークショップは、東北では宮城県と福島県で開催されておりました。そろそろ山形でということも、時宜を得た企画だと思い、お引き受けすることにいたしました。内容は、別紙のように昨年と同じような五つのセッションの企画で進めることにしました。

六つ目のセッションとしての新しい試みは、TFT(Thought Field Therapy:思考場療法)を用いた家族へのアプローチのセッションを設けたことです。引きこもりや何らかの理由で本人が受診できない場合、家族にタッピングの部位を教授し、家族から本人に施術してもらうという方法です。本人の変化が、家族全体のシステムの変化を進展させ、改善していく事例を私たちはいくつか体験しました。TFTは、副作用もなく、自分で自分に施術できることから、こつを覚えれば、薬物療法を行えないコ・メディカルスタッフには、使い勝手の良い有効な治療法と言えるでしょう。

各セッションの講師陣は、学会の中心的なメンバーの方々ばかりです。このような先生方が、山形のような田舎にお集まりいただけることも初めてのことです。田舎にいて学ぼうとすれば、上京するしかない状況の中で、地元で学べる機会が多いわけではありません。山形だけではなく、東北六件在住の方たちは少し無理をすれば、日帰りで受講することも可能でしょう。主催者としては、東北のコ・メディカルスタッフに是非参加して、研鑽を積んでいただきたいと祈念しております。

しかし、時間と財布に少々の余裕のある方は、10月初旬の紅葉と芋煮会を初めとする山形の秋の味覚を堪能していただければと思います。地域ワークショップ実行委員会総出で、皆様のご参加をお待ち申し上げております。

日本家族研究・家族療法学会地域ワークショップin 山形

◆開催日時: 2008年10月5日(日)9時15分~16時30分
◆開催会場: 山形テルサ(アプローズ,各研修室)山形市双葉町一丁目2番3号
JR山形駅西口より徒歩3分
◆参加費:
事前申し込み: 一般4,500円/学生3,500円
当日: 一般5,000円/学生4,000円
◆定員: 300名(先着順)
◆プログラム
[9:15~]大会長挨拶:五十嵐善雄(ヒッポメンタルクリニック)[9:30~10:40]基調講演「家族療法とは」
講師:日本家族研究・家族療法学会会長 中村伸一(中村心理療法研究室)[10:50~16:30]分科会 *昼食は11:45~13:15

  1. 『家族支援に役立つヘルピングスキル』講師:遊佐安一郎(長谷川病院) 高橋規子(心理技術研究所)
    ヘルピングスキルとは,メリーランド大学のカウンセリング心理学教授Clara Hill が開発した面接の基礎訓練システムです。クライエントの自己探索段階から洞察段階,そして問題解決のためのアクション段階と,クライエントの異なるニーズに対して異なるスキルを活用できるように,具体的にスキルを練習できるシステムです。このシステムを家族支援に応用して家族支援の複雑さ,大変さ,そして醍醐味を経験し,腕を磨くための訓練方法を紹介します。初心者の方,家族面接の腕を磨きたい方,そして,面接の教育訓練に興味のある方にお勧めです。
  2. 『家族ライフサイクルと家族療法』講師:中村伸一(中村心理療法研究室)
    家族ライフサイクルの変遷と共に家族にはそれぞれのライフサイクルのステージに見合った達成課題と困難が生じます。このワークショップでは家族ライフサイクルの基本的理解とそれぞれのステージに固有の課題解決と,そこで起こりやすい家族の問題や障害について考えてみます。さらに家族ライフサイクルという視点を活かした介入についても考えてみたいと思います。
  3. 『家族心理教育の方法論:理論と実際』講師:後藤雅博(新潟大学)
    精神障害を含めて持続的で日常生活上困難さがあり,かつスティグマや偏見の強い問題を持つ本人と家族への支援法として,(1)適切かつ正確な知識・情報を共有し,(2)問題によって生じた日常的な困難への対処を協働作業で工夫する,という心理教育というアプローチがあり,現在統合失調症,うつなどの精神障害以外でも摂食障害,ひきこもり,身体疾患にも応用されています。本ワークショップでは家族に対する心理教育の実際を体験的に学びます。
  4. 『TFTを用いた家族へのアプローチ』講師:森川綾女(アイ心理研究所)
    五十嵐郁代 五十嵐善雄(ヒッポメンタルクリニック)
    臨床心理の先駆者の一人である米国のDr. Roger Callahan が,東洋医学の経絡のツボをたたくことで,深刻だった恐怖症を治したことから,研究発達させた新しい心理療法です。このような身体に働きかける治療を,診療所に来院した家族に教授し,家族から患者本人にTFTを施術してもらいました。その後患者自身の症状が軽減することによって,それまでに悪循環に陥っていた家族システムが変化するようになりました。このような体験を通して,当日,TFTの簡単な講習といくつかの事例を挙げて,参加者と共に討論したいと考えています。
  5. 『非行臨床における家族支援』講師:生島浩(福島大学)
    本人の治療的動機付けが乏しく,「時間がクスリ」である非行臨床において,家族を変えるのではなく,親がくたびれ果てないように支援することがポイントとなります。非行臨床機関を中心に対応機関のシステムに即した家族支援の理論と方法について教示します。参加者の事例検討に加えて,ロールプレイにより「危機介入」および「継続する面接」の進め方を演習します。
  6. 『メディカルファミリーセラピー:医療・看護・介護における家族支援』講師:渡辺俊之(高崎健康福祉大学)
    医療,看護,介護の現場で家族に関わらないスタッフはいません。こうした領域では,日常的に家族アプローチが意図することなく行われています。それは医師のムンテラであったり,付き添い者への看護師の言葉かけであったり,ヘルパー訪問であったりします。医療,看護,介護における家族アプローチを洗練するための理論と技法がメディカルファミリーセラピーには用意されています。ワークショップでは現場で活用できる家族療法の知識をわかりやすく提供し,Susan McDanielのビデオによる学習,ジェノグラムワークなどを行い,参加者の視点拡大とスキルアップを目的とします。
◆参加申し込み: 申し込み票の請求等は,問い合わせ先までE-mailかFAXでお願いします。
2008年9月1日(月)を申し込み〆切としますが,各分科会で定員を超えた場合,第2または第3希望の受講となります。あらかじめ,ご了承下さい。
◆問い合わせ先: 日本家族研究・家族療法学会地域ワークショップin山形実行委員会宛

E-mail: kazoku_yamagata@yahoo.co.jp
FAX: 023-641-4359
精神科専門医研修ポイントとして30ポイント加算されます
※本講座は,臨床心理士の研修ポイント認定に該当いたします。

数寄者が集まってのマニアックな議論の場はいかが?:「ナラティブと臨床」研究会のご紹介

松嶋秀明
(滋賀県立大学)

今回ご紹介するのは、いわゆるナラティブについての研究会です。楢林理一郎先生から声をかけていただいたのがきっかけで、私と近藤強先生(現在ロチェスター大学留学中)、湯沢茂子先生が発起人となってたちあげました。

学会員の皆様には、もはやナラティブなど、聞き飽きた用語かも知れません。ナラティブ概念の普及によって我々の実践にも少なからず変化がもたらされました。しかし、概念が流布すれば、当初のインパクトは薄れ、疑問や違和感が語られるようにもなります。

このような時期だからこそ、この概念が臨床実践に与えた意義をふまえつつ、未来の展開を議論する場が必要だと私たちは考えました。ナラティブの臨床思想としての側面に注目し、ともすれば思弁的になるきらいのあるナラティブ概念を、実践から鍛え上げていくことを会の方向性としました。これまで3-4ヶ月に1度をめどに、計6回の研究会を行ってきました。

発表者と演題を記しておきましょう。

  • 楢林理一郎「家族療法からナラティヴへ:私のストーリーから―」
  • 近藤 強「アスペルガー症候群」を持つ男子に対しての地域支援:コラボレイティヴ・セラピーの視点から
  • 松嶋秀明「対話的空間としての学校」
  • 野村直樹「ナラティヴの視点,なぜ今ベイトソンか」
  • 松島恵介「語り・身体・物体―とりわけ<あの時のことを,あの時あった物体を目の前にして,語ること>の危うさについて」
  • 小森康永「緩和時間 What I feel about Psycho-Oncology」

ご覧のように、ナラティブ論を継承しつつ新たな実践を切り開く試み、従来のナラティブ論で十分に扱われてこなかった議論への挑戦が行われています。参加者の顔ぶれも多様です。臨床に関わる人々だけでなく、フィールドワーカー、ジェスチャー分析、時間と想起について哲学など、これまでナラティブとは無縁だった人々にも興味をもっていただいています。

多様なメンバーが集まるだけに、研究会は予定調和的には終りません。「数寄者があつまってのマニアックな議論」が魅力です。ナラティブ論を修得するのではなく、むしろ、これまでのナラティブ論にとらわれず、なにか面白いことをやっている人を集めて議論したいという方におすすめです。

ご興味をお持ちになった方はいらっしゃいますか?。研究会ではMLを作って研究会の告知を行っています。参加してみたいと思われる方、情報が欲しいと思われる方、気軽に右記までどうぞ(松嶋秀明:matsushiman@gmail.com

「編集後記」

委員会からのお詫び

毎回お詫びばかりですが、ニュースレターのアップが遅れ、皆様方にはたいへんご迷惑をおかけいたしました。ニュースレターを読んで下さる会員の方々、あるいは学会に興味を持ってお読み下さる方々のために、できるだけ多くの情報を提供できたらと思います。ニューズレターを充実させるためにも、皆様方のご意見や地域の情報をいただければと思いますので、次回もご期待下さい。(広報委員長:吉川悟)

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